囚人 -Paradox 2013-

囚人Pが、2008年と2009年にニコニコ動画で発表したボーカロイド楽曲、

「囚人」と「紙飛行機」。

囚人(50万再生)

http:www.nicovideo.jp/watch/sm5117285

紙飛行機(43万再生)

http:www.nicovideo.jp/watch/sm6165498

収容所の柵越しに出会った少年と少女の、紙飛行機による交流と悲劇の物語を描いた楽曲だ。

記憶を失い、何故自分が囚人であるかも解らない少年。

不治の病で、幼い頃から狭く苦しい生活を強いられた少女。

残された「生」が少ない二人が、ある日、消して越えられない柵越しに出会い、恋に落ちる。

「囚人」は、柵の内側から出られない少年の視点、「紙飛行機」は柵の外側から見守る少女の視点で、絡みあったストーリーが描かれている。

ボーカルには音声合成技術VOCALOIDの音源鏡音リン・レンを用いられており、VOCALOIDのファンからは、涙なくしては聴けない「鏡音三大悲劇」の一つとして数えられている。

楽曲を元に囚人P自身が執筆した小説は、2012年5月に1巻、11月に2巻がPHP出版より発売され、たちまち重版がかかった。2013年春には3巻発売も予定。

http:shujinnovel.com/

更に、2012年11月よりコミックジーンにてコミカライズの連載がスタート。単行本の発売が待たれている。

http:www.comic-gene.com/

様々な形で未だ多くの人を涙させるストーリーを持ったこの曲の一つ「囚人」が、この度、

新星アニソンシンガー・鈴木このみによる歌唱&NEWアレンジで、2月27日発売の鈴木このみ3rdシングル「夢の続き」に収録が決定した。

2012年8月にメディアファクトリーから発売された、ライトノベル作品のイメージソングコンピレーションアルバム「うたJ」に、「魔弾の王と戦姫」のイメージソング「Guilty-Arrow」で参加した囚人P。彼の得意とするファンタジーな世界観で悲劇・叙情・衝動が荒ぶる楽曲である。

この頃から「囚人と紙飛行機」のコミカライズが進行しており、いよいよ連載スタートさせた11月、

鈴木このみは2ndシングル「DAYS of DASH」を発売。ツーバスが印象的なゴシックロックのデビューシングル「CHOIR JAIL」から一転、爽やかな青春ロックを歌い、「同じ人とは思えない!」と多くのアニソンファンを驚かせた。更に、「夢の続き」(TVアニメ「さくら荘のペットな彼女」新OPテーマ)では切ない恋心を歌い、大人っぽい一面を見せた。

驚異的な成長力が強みと魅力の鈴木このみにとって、ネクストチャレンジには何がふさわしいか?

そこで出たアイディアが、「ボーカロイド」の曲をカバーするのは?という高い壁。

コミカライズがスタートしていた事もあり、囚人Pの「囚人」が選ばれた。

デモレコーディングの前日、楽曲資料を本人に渡し、ほぼぶっつけ本番でレコーディング。

もともと人が歌う為に作られたものではないため、音域が広かったり息継ぎのポイントがなかったりするわけだが、「囚人」の持つ大きなドラマは、アニソンシンガー鈴木このみに見事マッチし、よりドラマティックに力強く歌ってみせた。

鈴木このみ自身は、カラオケでボカロ曲を歌うこともあるが、カバーをすることは勿論、初めて。

「人間」が歌うことでこの歌はどう変わるのか?多くのファンに愛されてきた楽曲ということもあって、プレッシャーも可能性もある大きなチャレンジとなる。

悲劇という、ある意味普遍で巨大すぎるテーマに、鈴木このみと囚人Pの若き二人が新たな形で挑んだ「囚人 –Paradox 2013-」、注目必至の楽曲である。